2020年8月1日土曜日

SONY SA-Z1を聴いてきた

ソニーストアのリスニングルームで聴かせていただきました。
第一印象は、思ったよりでかいこと。デスクトップオーディオとしては、かなりの存在感。というか、設置すると、そのためのデスクになる。
ソニーストアでは、椅子の位置まで決められていて、しっかりセッティングされている。しかも、シアタールームでの視聴は騒音もなく、めちゃくちゃいい環境で体験できます!

代表的なジャンルのスタンダードナンバーがパソコンに入っていて、好きな曲を選んで聞けます。
鳴らすと、スピーカーが消え、スピーカーの間と前後にミニチュア版のステージができます。スピーカーの外に音が広がるタイプではありません。
位相が揃った音ってのは、こんな感じなんだと勉強になります。
私が、ニアフィールドリスニングをしないので、あまりわからなかったのですが、不思議な鳴り方をするスピーカーだと思いました。今度、TD-M1でニアフィールドやってみようかな。
解像度が高く、低音もカタログスペック通り出ていると感じました。

オールドソニーファンが憧れる、実験的で面白い製品。
ソニーがこんな製品を出してくれて、素直にうれしい。
ノウハウと、創意工夫、物量の塊。
高価な製品とはいえ、この値段でも開発コストを回収できないかも。
この技術を活かした製品を、シリーズ化して欲しいものです。

2020年6月30日火曜日

プリンセスコネクト!Re:Dive (プリコネR)

まあまあ面白い。

Cygamesのアニメは、『進撃のバハムート』では圧倒的作画力、『グランブルーファンタジー』では世界観の拡張、『ウマ娘』では、なんだかよくわららないカオスな世界観で楽しませてくれた。

大資本で一流のスタッフを囲い込むスタイルは、最初から印象がよくない。そんな中、今回もきっちり、それなりに面白くしてくるところは流石。
自社のアニメスタッフを育てていることも、好感が持てる。

「最高のコンテンツを作る会社」の看板には、まだ届いていない。その、シンプルで愚直な看板は、自らに高いハードルを課しているわけで、この次の作品か、さらに次の作品、さらに、もう少し長い目で見てあげる必要がある。最高のコンテンツというからには、日本だけでなく、世界的なムーブメントを作るレベルの作品を数本連発する必要がある。

一流のスタッフをそろえた、安牌の作品だけではいけない。とんでもない駄作になるか、大ヒットを飛ばす作品になるか。生きるか死ぬかで、作品の面白さに責任を持つ監督を起用してほしい。賢い会社なので、作品の成功を予測しすぎてる。

Cygamesのアニメスタッフは、最高の育成をされていると思う。ただ、最高のコンテンツは、ドブの中から生まれてくることもある。投資会社で、若手クリエイターを起用するのがよいか。ヘドロの中から、最高のコンテンツを作る人材を探し当てて欲しい。

この作品の優れているところは、主人公の単語のセリフと、このすばから引き継いだ、緩い世界観、アットホーム感。そして、金崎監督が音響まで手を入れていて、随所に爆裂魔法と同じ、気持ちのよい音響が楽しめること。

さくっと見て、楽しめる作品であることは間違いない。

2020年6月15日月曜日

S.M.S.L M300 MKIIを買ってみた

まあ、普通にいいんじゃないでしょうか。

AK4497EQという比較的新しいチップを積んでいて、最大32bit / 768kHzのPCMとDSD512まで対応するモダンなスペックで、しかも、バランス出力があるDACでは、最安値の部類に入る製品です。私はこのバランス出力を試したかったので、購入しました。

Raspberry Pi 3 Model B+とVolumioで、何の苦労もなしにDSDが再生されるのが嬉しい。Preamp機能をオフにして、純粋なDACとして使用しています。
最初にリモコンを操作する際、「C」を押す必要があり、これを知らずに少し時間を取られました。

音質は、これまで使っていたA-70DAと大きな違いがなく、DSDがDirect再生できる分、ストレスがなくなりました。ノイズ感もなく、快適です。
見た目もカッコよく、コンパクトでデスクトップでも場所を取りません。
ESSの方が解像度が高く、AKは少し滑らかな気もしますが、正直よくわかりません。このM300 MKIIくらいの性能で、私レベルには十分なのではないでしょうか。

実は、USBケーブルを標準のものから、DH-AMB015に繋ぎ変えると、音が変わるように感じました。低域の量がドロドロと増え、DS-V5000では問題を感じないものの、SS-AC5では、その低域がバスレフによって強調されて、音が悪く感じます。
これは、最近、気温が上がってきたせいかもしれないので、もう少し様子見です。

追記

低音過多と感じたのは修正。短くちょっといいUSBケーブルに変えてみてください。

エレコム USBケーブル USB2.0 (A to microB) DH-AMB015

信頼性が半分。音は意外と変わるように思います。
1.2mの方も購入して、そちらは、すぐ断線した。腹が立ったが、1000円ちょっとのケーブルなので、返品処理すら面倒で、捨ててしまった。そういういきさつから、こちらの15cmの方も信頼していない。それでも、こちらは購入から3年程度生き残っている。

標準のケーブルから変更すると音が変わるような気がする。
私は、ケーブルで音が変わらない派というか、標準ケーブルでいくぞ派なので、困ってしまう。

2020年6月4日木曜日

Thomann S-75 MK2を買ってみた

音はよかったのですが、無音時のノイズが大きかったので手放しました。

プロケーブルさんの推薦で、大人気機種。セパレートアンプへの憧れがあったので、贅沢に2台導入して使ってみました。
PA用のアンプらしく、しっかりと音が出る、音楽を楽しめるアンプだと思いました。省電力なようで、大型バッテリーで長時間使用できます。

このアンプは安価で、音がよく、いいものだと思いますが、うちの環境だと、無音時のノイズがかなり大きいと感じました。
DS-V5000からは、1.5m程度離れても、ジーというノイズが聞こえます。どうも、DS-V5000は入力された音を分解・増幅する機能が高く、91dBという能率以上にノイズに敏感なようです。頑張りすぎて、ノイズに弱いという、困ったやつなのです。
音楽が鳴りだすと、気にならないものの、常にノイズが乗っていると思うと、どうも精神衛生上よくない。2台ともノイズがありましたが、1台だけはボリュームを4時の方向にしたときにノイズが聞こえなくなるポイントがありました。ボリューム周りの作りが、いいかげんなのかもしれない。

このノイズについては、最近のバージョンでは出ないとか、レベルメーターや自動電源オフの機能をパスすれば出ないとか、いろんな情報があり、自分の買ったものがたまたま外れだったのか、よくわかりません。結局、実際に使ってみて、判断するしかないようです。私は2019年に購入しました。
https://community.phileweb.com/mypage/entry/4813/20200428/64956/

レベルメーターのキャンセルくらいは、自分でできたかもしれませんが、素人が弄って、壊すとかわいそうなので、手放してしまいました。このアンプは、能率の低いスピーカーに使うか、ある程度、技術に詳しい人が使う方がいいかもしれません。

追記

バッテリーのインバーターノイズが大きかったようで、コンセントに繋ぐと、半分くらいのノイズ量。プロケさんのトランスに繋ぐとさらに半分なので、最初からそちらに繋げばよかったです。
ちょっと、もったいなかったかな。

2020年6月2日火曜日

SONY SS-AC5を買ってみた

なかなかよいです。
これまで、こたつシアターのスピーカーは84kgの大きなDS-V5000と、小さなTD-M1で、極端に大きさが違うため「間」がなく、ずっと、”普通”のブックシェルフが欲しかったものの、部屋が散らかっていて、新しいスピーカーを増やすことができませんでした。

ところが、4月からコロナによる在宅ワークで、部屋を片付ける時間ができたので、ブックシェルフを物色していました。
ボーカルものを鳴らしたり、メインスピーカーとの比較に使うサブ機なので、安いものでよく、当初、ONKYOのD-412EXや、KEFのLS50やQ350を狙っていましたが、これらの機種は結構人気があって、なかなか手が出ませんでした。

SONYのスピーカーは、オーディオファイルからは人気がないのですが、私は昔SS-NA2ESを視聴したときの印象がよく、SONYのナチュラルサウンドに憧れがありました。
また、私は黒物家電は、できればSONYを選びたいという、SONYファンの昭和な男であります。

SS-NA5ESpeが最も理想的でしたが、現行機種で高価なため、同じような構成で、箱にお金がかかっていない、SS-AC5に焦点を絞って探しておりました。
SS-AC5は2013年発売で、販売時、ペア8~9万円台の中級機。それほど注目されることなく終息してしまったスピーカーです。
SS-AC5は、バブル期のスピーカーが中心のうちの中では、最新機種(笑) 購入された方は、まだまだ現役で使われているでしょうし、元々の玉数が少ないのか、中古市場にも、めったに出回りません。

ネット上にこのスピーカーの情報が少ないのは、おそらく、SONYの中級機を買う人は、家電の延長で買う人が多く、いい音楽が聴ければそれでよくて、スピーカーについて語ることがない人たちなのかもしれません。
それどころか、もしかしたら、自分のスピーカーがSS-AC5なのかすら把握していないかも。
SONYのスピーカーは、基本的に、発売して、たいして話題にならないまま販売終了になるものが多くて、かないまるさんがブログに書いて、ちょこっと人気が出るものがあるくらい。SONYのスピーカーファンとしては、ヘッドフォンやDAPだけでなく、スピーカーにも注目が集まって欲しいと思います。

さて、このSS-AC5は、Joshinのブログによると、発売当初から、かなりハイコスパというこということ。中古価格だと、音質と比べて、タダみたいなもんです(^^♪

このスピーカーの特徴は、なんといっても上位機譲りのI-ARRAY SYSTEMで、リスニングエリアが広いこと。SS-NA5ESpeと同じで、ゴム足まで付属。セッティングがめちゃくちゃ簡単です。
気を付けるのは、スタンドを用意することと、スピーカー間の距離を、しっかりと開けることくらい。スピーカー間の距離によって、印象がかなり変わるので、何度か試行錯誤したものの、セッティングがへたくそな私でも、スピーカーの性能を、かなり引き出せたと思います。
今のところ、うちの中では、似たタイプのスピーカーがないので、気に入っています。

ブックシェルフをとっかえひっかえできないので、フルレンジとフロアタイプとの比較ですが、リスニングエリアが広く、音がよく広がること以外は、”普通”のよくできたスピーカーだと思います。解像度はそこそこ。出すべき音は出ていて、嫌な音は出さない。低域も、バスレフ臭さが少ない、自然な音。カタログ上、低域は45Hzまでですが、量感があります。ここは、魅力的な低音と言ってもいいかな。
ブックシェルフらしく、コンパクトに定位するので、楽器が少ないボーカルものはいい感じ。レンジもそこそこ広くて、ある程度広い音楽ジャンルをカバーできます。
不得意分野は、クラシックなどのダイナミックレンジが広いものと、『紅蓮華』みたいな、コンプレッサーの効いた、音の多いアニソン。楽器の音に、ボーカルが埋もれてしまう。
まあ、これは、どのブックシェルフでも、高解像度な4WAYのフロア型と比べたら、たいていそうなる。
あと、きれいな音だけど、能率が低いので、開放的な鳴り方ではないかな。ボリュームを上げる必要があり、アンプをバッテリー駆動すると、バッテリーの減りが速い。

このスピーカーを設置してわかったのが、私は、DS-V5000の性能を半分も使えていないということです。
AVアンプの補正を使っても、まだまだ、調整の余地を感じるし、そもそも、部屋の広さも高さも足りない。さらに、自動補正機能なしのオーディオアンプを使っての素人セッティングでは、その性能の半分も引き出せないことがわかりました。
鳴らしやすいSS-AC5が来たからこそ、DS-V5000に手をかけてあげないとと感じた次第です。

2020年5月14日木曜日

映画は24フレーム(24fps)で見て欲しい件について

私は、4K、HDR、Dolby Atmosといった、高品質化については、すごく興味があって、ぜひとも導入したいと思うのですが、この24フレームについては、あまりこだわっていません。

その昔、テレビがブラウン管だったころ、フィルムではなく、ビデオ撮りの映画というのがあって、たいそう安っぽく感じたものです。
それが、HTPC(ホームシアターPC)を導入して、ソフトウェアによるフレーム補完を体験してからという言うもの、私はヌルヌルした動きが大好きになってしまいました。かれこれ、20年近く前のことです。

もともと、24フレームというのは、どうやって決まったのでしょう。
無声映画が16フレームで作られたのは、人間が動きと認識できる、できるだけ少ない枚数ということと、以下は私の推測ですが、それまで、時間軸を平面に落とし込んだ、もっとも一般的なもの。そうです。“楽譜”と同じ4の倍数のため、割りやすく、タイミングが取りやすかったからではないでしょうか。

余談ですが、初期のパソコンのムービーは10や12フレームもありましたが、15フレームというものが主流でした。16に近いですよね。高画質なものが30だったので、こちらはテレビをベースにしたものでした。

さて、トーキー映画になって、音声を途切れなく入れるために、フレーム数は、16から24になります。16の1.5倍で計算しやすく、さらに3でも割り切れるようようになります。つまり、24フレームは高価なフィルムを節約して、作業効率を上げるための、絶妙な数字だったとも言えます。そして、24フレームが一般的になったことで、撮影機材や映画館の機械が24フレームになり、映画制作者は24フレームにこだわって、世界観を表現することになったわけです。

ただ、本来的な話をすると、現実世界にはフレームは存在しないため、映像表現としても、人間がフレームを認識できなくなるまで、フレームレートを上げることが望ましいはずです。テレビが60フレームになり、ゲームも60フレームが当たり前、ハイスペックPCでは100以上のフレームレートが出せる中、映画だけが24フレームのまま取り残されてしまっているとも言えるのです。

私は、今ではヌルヌル動く映像に、安っぽさは感じません。ただ、一般的には違うようです。
『ホビット』で、48フレームに挑戦する動きがありました。結局、製作費だけかかって、安っぽいテレビ番組みたいだと、不快に感じる人が多かったようです。それほど、「映画は24フレーム」という呪縛が強いのだと思います。

実は、私は、映画館で3D HFR(ハイフレームレート)でこの作品を観ましたが、何の違和感も感じませんでした。プロジェクターのフレーム補完を見すぎて、感覚がバカになっているのもありますが、この作品を見て、フレームレートは作品の面白さにあまり影響しないということもわかりました。

私は、HFRの映画が安っぽいとは思いませんが、お金をかけてやるほどの意味もないという理由で、24フレームのままで十分とも思います。

「映画の世界観を表現するには24フレームでないと」というのは、実は伝統的な価値観で、「見慣れているから」というだけです。本来、制作者は、12でも60でも、その作品の世界観を表現するために、好きなフレームレートを選べばよくて、実際、『ジェミニマン』は4K120fps撮影されています。フルCGの映画なら、レンダリングの枚数を変えるだけでフレームレートは変えられます。

現状、映画館の機械は簡単に入れ替えできないので、12にはできても120は難しい。製作者は24フレームに慣れちゃってるし、8フレームといった、リミテッドアニメーションの技術を転用するなら、やはり、伝統的なフレームレートにはなってしまう。

結局、様々な理由で、映画制作者にとって、24フレームを選択するのは、必然性が高いということになります。

さて、私は作品の面白さに、フレームレートがあまり影響しないと思っている=フレームレートに対しての感覚が鈍いので、そこに、こだわりなないどころか、フレーム補完でヌルヌル動く方が心地よかったりします。

それでも、映画制作者の意図したとおりに見て欲しいというところには、大賛成です。
今では民放で映画を見ることはありませんが、昔はテレビで放映される映画の映像は、4:3の画面に合わせて、左右が盛大に切られていたし、放映時間に合わせて内容がカットされており、カットしてないものはわざわざノーカットといううたい文句がついていたくらいです。

今でも、スタッフロールはカット。あっても、短いものに差し替えられます。
映像や内容が切られてしまう時代には、フレーム数よりも重要な問題がたくさんあったわけです。

今ではストリーミングで、好きな映画を、ほぼ完全な状態で見られる時代になりました。
そして、ハードウェアの進化で、引っ掛かりのないスムーズな映像が見られるようになりました。

そんな時代だからこそ、制作者が「24フレームで見て欲しい」という、ちょっとマニアックな指摘をすることになったわけです。