2009年3月31日火曜日

グッドラック 戦闘妖精・雪風

小説です。アニメ化された雪風の原作続編。
なかなか面白いです。

SFなんですが、前作と違って、戦闘機のドッグファイトを描いているのではなく、フェアリィ星の閉鎖空間を舞台に「人間」を描いています。
雪風の出撃は、都合3回ぐらいしか描かれていません^^じゃ、面白くないのかというと、面白いんですね。前作から25年後に書き上げた続編なので、人間を描くことに作者の興味が移り変わったのでしょう。
作中で、いろんな思考実験をしており、(僕はすべてを理解できていませんが、それでも)それが面白い。稀な作品です。深井中尉は、確か無口なキャラだったはずですが、本作ではしゃべるしゃべる。会話が中心という作品の性質上、しゃべらざるを得ない。深井中尉の性格が変わった一番の原因は、ジャムでも雪風でもなく、この続編の主人公として、おしゃべりになってもらわないといけなかったからかも!?
登場人物の外見的特徴があまり描かれていないのも、この小説の特徴のひとつ。人間の存在意義を描くのに、外見の描写は不要だと言わんばかりで、かっこいいです。明確な人物描写はなくても、その人物の行動や、他の人物の接し方で、どんな外見なのかを想像できるようになっています。

この作品は有名なSFで、それこそ熱いマニアが、僕には思いつかないハイレベルで、面白い感想を書かれていると思うので、読後にそういう感想を探して読むと、作品世界をさらに楽しめるかもしれません。
僕もこれから、対電子情報収集活動に入ります。グッドラック!

とらドラ!

アニメです。原作未読。
これは、今回のクールで一番人気がありましたが、さすが、とても面白いです。

ストーリー、絵、演出、すべてレベルが高いので、「ラブコメがダメ」っていう人意外は、見たほうがいいと思います。
特に、演出にまったく破綻がなく、丁寧にまとめられていて、しかも盛り上げ方もめちゃくちゃうまい。長居龍之監督は、すごい実力があって、しかも「のっている」と思われます。
絵も、いいスタッフをどんどん引っ張ってきているようで、ラブコメなのに、派手なアクションシーンが楽しめたりします^^
25話中、23話目までが、特に盛り上がる構成になっていて、各キャラクターが持つ閉塞感をすべてぶちこわしてくれます。最後2話、特に最終回は、女性作家の原作らしく、ラブラブで、おっさんにはちょっとはずかしかったです。まあ、物語の回答というか、しっかりと最期まで描ききってくれています。
そもそも、原作が10巻という、いい感じのボリュームで完結しており、それを25話といういい感じの話数にあてこんで、しっかり描ききるという、まれに見るきちんとしたパッケージ化ができた作品と感じました。
演出、作画ともに、いいものを作ろうという気合も感じました。
また、この作品のキャラクターは、全員、一筋縄ではいかない変な人たちで、複雑な心理構造をしています。原作の力もあるでしょうが、演出とキャストの力で、それぞれの主要キャラが生き生きと動いています。「メガネっ子」とか、「いもうと」とか、安易なキャラ作りをしているアニメは、見習ってほしいです。
J.C. STAFFは、商業主義的に、安易な作品を連発するイメージがあったのですが、今回のとらドラ!は、ぜんぜん違いました。
また、面白い作品を期待しています。

2009年3月28日土曜日

鉄のラインバレル

これは普通の印象でした。原作未読です。

まず、平井久司さんのキャラクターに癖があり、これがどうかなと思いました。
リヴァイアスやSEEDなど、アニメオリジナルのキャラはよかったと思いましたが、今回は平井さんの個性が邪魔して、原作の雰囲気を殺していたように思います。原作未読なので、エンディングのイラストと比べてなのですがTT あの、エンディングのかわいいキャラの方がいいという人、多いんじゃないでしょうか。
あと、雰囲気がちゃちというか、なんというか。ストーリ展開はよく出来ていると思いますが、ときどき出てくるラブコメや、めそん一刻みたいな人とか、なんとなくちゃちで、ちょっとしらけてしまいました。
キャラも、ショタな男の子、巨乳のおっとり、双子とかハリセンとか、なんとなくちゃちに感じてしまいました。そういう記号だけでなく、もっとえぐって欲しい。
自分の正義を振りかざして、巨大な敵と戦ううち、本物のヒーローになっていく主人公。破天荒な彼を際立たせるために、もう少し周りをシリアスに描いたほうが、爽快感があったか。ロボット、女の子、ヒーローなど、人気要素を兼ね備えたこの作品は、料理の仕方で、もっと面白くできたと思います。
谷口ブランドに、ちょっと期待しすぎたかもしれません。
まあ、ロボットが戦うのを見るだけで、嬉しい自分もいるんですけど。
ブラスレイターからと思われる板野さんチームは、しっかりとした仕事をしていたと思います。巨大ロボの重量感をもっと出せればと思いました。
宇宙のデブと戦う回はよかったですね。最終回もよかったです。
坂本さんの歌、どちらも好きです。

忘念のザムド

ふう、感想もまとめて書くとたいへんですね。
面白さの印象は、普通か、ちょっと上です。

ストーリーがちょっと難しくて、世界背景、時代背景、ルイコン教など、見終わった後でもあまり理解できませんでした。いろいろあったけど、結局愛が一番という、なんだかわからないまま終わってしまいました。
もっと、真剣に、繰り返し見るべき作品かもしれません。
ハルとナキアミという2人のヒロインがいて、ハルじゃなくてナキアミとくっつくかなと思わせておいて、やっぱりハル。これは、最初の予定通りなのでしょうか? なんとなく視聴者の反応で変化したような気がします。髪の長いときのハル、キャラデザがめちゃかわいいので、ハルとくっつけてくれと、メールが殺到したかも!? ナキアミは割り食いましたね。ナキアミも最後髪を下ろしたら、可愛かったですね。アニメのキャラって、記号なんですよね。
ああ、この奥が深い作品に、こんなくだらない感想しかかけなくてすいません。

作画はさすがにBONES、すごくいいです。戦後の昭和をイメージさせるレトロな雰囲気は、絵としてはとてもよかったと思います。キャラ、メカもいいです。最終話のアクションなんか、普通は1話に1回しか出てこないような作画を連発しています。すごすぎ。
全体的にPS3向けにハイクオリティで作られていて、お金を払って見る価値はあるのですが、僕には少し難しかったです。

ドルアーガの塔 〜the Aegis of URUK〜

アニメです。
ゲームは当時難しくて、あまり遊んでいませんが、ドルアーガのブランドは僕ら世代のオタクにとっては特別。アニメを見終わった感想は普通の印象。

賀東招二さんのフルメタ(小説)は好きですが、今回のシナリオはちょっと入り込めなかったです。
ヒロイックな部分はわかりやすいですが、兄弟の確執や、ぼんやりして、特に特徴のない主人公など、なかなか感情移入できるところが少ない。1期初回のヒロインとの出会いや、竜の回などは楽しかったでので、僕は、どうやら「お約束」が好きみたいです。
魔法使いのおっさんの最低ぶりは、よく伝わってきました^^;
他のキャラが印象薄いのに、あのおっさんだけは忘れがたい。
白亜右月さんのキャラクターは、丸っこくてセクシーでかわいいです。前の爆裂天使もキャラだけはよかったです。
千明孝一監督は、フルメタ無印とこれを見る限り、普通の印象です。
(ブレイブストーリーは、世の中のスルーぶりに比べると、僕は好きです。)

2期の作画は、初回と最終回が突出していいです。
青の6号や、雪風など、オールドGONZOを彷彿させるクオリティ。他の回は作画がぐっと落ちます。いろいろありましたが、がんばってください。

テイルズオブジアビス

アニメのほうです。ゲームは遊んでいません。
アニメは普通の面白さです。
僕はファンタジーファンで、しかもテイルズオブファンなので、どうしても、ひいき目になってしまいがちなのですが、自分の中でできるだけ客観的に見ると、やはり普通の印象でした。

ゲームを忠実にアニメ化しているようで、原作至上主義の方なら、いい印象なのではないでしょうか。
ただ、ゲームに忠実なことが災いして、アニメ単体で見ると、ごちゃごちゃした印象です。
ゲームではアイテム集めなど、小さな目標をたくさんクリアして、大きな目標を達成するのが普通ですが、アニメでそれをしてしまうと、(中盤とか)どうしてもごちゃごちゃしてしまいます。
特に、クローンや、フォニム?の話がややこしく、「えっと、今何してたっけ」と、長編RPGプレイ中に思うことを、アニメを見ながら思ってしまいました。
こだま兼嗣監督は僕が子供のころからアニメを作っている方で、ベテランらしく安定したお仕事をされています。ただ、さすがに尖った部分はないです。
オープニングは、ゲーム版の松本憲生さん対アニメ版の渡部圭祐さんで、渡部さんはかなりためのあるアクションを描かれています。禁書目録でもオープニングの大事なところをされていて、すごい活躍されてますね。
テイルズ史上最低の主人公が成長していく部分を、もう少し丁寧に、劇的に描けば、もっと面白くなっていたと思います。
藤原基央さん歌は、どれもよかったと思います。譜歌がもう少し種類欲しかったです。

とある魔術の禁書目録

原作未読でアニメだけ視聴しました。
アニメはあまり面白くなかったです。
ファンの方、スタッフの方、すいません。本当に個人の感想なので。

ストーリーが細切れで、短編をいくつか繋いだようなつくりになっています。おそらく、原作も1巻ごとに完結するようになっていると思います。このせいで、24話通してみたときの印象が薄く、ボリューム感がありません。
ストーリーも、キャラクターの魅力に頼っており、話の筋で楽しませようという感じではないです。
錦織博監督の作品は、妖奇士しか見ていないですが、メリハリのない印象です。塾に入る回は結構怖かったので、ホラーみたいなのは向いてる方なのかもしれません。

キャラクターや、超能力、魔法などの設定は結構凝っていて、いい感じなので、それが楽しめればそこそこ楽しめると思います。
オープニングはいいデキです。

とらドラを見るまでは、これの作品ぐらいが、ちょうどJ.C.STAFFクオリティかなと思っていましたが。

2009年3月20日金曜日

CLANNAD ~AFTER STORY~

まだ、番外編は見ていませんが、感想を書きます。
それほど面白くないですが、泣ける作品です。
京アニブランドらしく、映像の完成度が高い。特に彩色以降の処理(ぼかしなど)が秀逸です。

出産の回や、お父さんの子育ての回など、ボロ泣きさせられました。家族愛や、貧しさとの戦いなど、普遍的なテーマを描いているところはいいです。綺麗な作画と、丁寧な演出がぞんぶんに威力を発揮していました。
逆に、サブキャラクターのエピソードが、僕には相当寒く感じられました。不良同士の喧嘩など、しょうもないです。
物語の帰結のさせ方が、ちょっと理解しにくい。これまでさんざん苦労してきた朋也を見てきてるので、汐が死ぬことは絶対にありえないチョイス。かといって、それをわかり難いファンタジーでくるんで、ハッピーエンドにしてしまうと、見終わった後の印象が?になります。

まあ、たっぷり泣かせてもらったので、よかったでしょうか。

戦闘妖精・雪風<改>

小説のほうです。
男のための面白いSFです。

OVAの方は見ており、当時セルとCGの融合において最高の映像だと思いました。
当時、ストーリーはよくわからなかった。友人から原作を読んでないとわからないと言われていました。ようやく読めたので感想です。

元は1984年の作品で、この2002年の<改>でも、それほど変えていないらしいです。古いSF作品ですが、陳腐な言い方をすれば、まったく古さを感じません。古いのはコンピューターの出力が紙ということくらい。テーマが普遍的なものだからでしょう。
無駄を省いた簡潔な文章が、めちゃくちゃかっこいい。小説で戦闘機のドッグファイトを表現できるのか!?できちゃうんですね!専門用語はよくわからないのですが、かっこよさだけは伝わっていますよ!

OVAで一番印象的だった、雪風のあの飛び方も、ちゃんと原作通りです^^
続編も読みたい!です。

ef - a tale of melodies

momoriesが楽しめたなら、楽しめます。
面白さとしては、momoriesに譲りますが、優子と夕の物語など、前作の積み残しを完結させています。
前作の続編としては無難なでき。悪い意味ではなく、しっかりとしたプロの仕事です。
ただ、前作に比べると若干荒さがあるような気がします。新房組が忙しすぎたせいかもしれません。

二つの街や、優子のことなど、ファンタジー的な展開と帰結を見せます。
ラストの展開など、CLANNADと少し似てるかもしれませんが、こちらのほうが納得性が高いです。
結ばれない恋人も描かれており、前作より欝傾向が強いですが、最後まで見終わった印象はさわやか。

10話ぐらいで、ミズキが答える場面は、斬新な印象をうけました。
それまで、ことばを重ねることで、登場人物のコンプレックスを表現していたのが、10話で答える場面で前向きな言葉が繰り返されていたからでしょう。そう返しますかと。

斬新な演出に目が行きがちですが、ストーリーやテーマは、だれにでもわかりやすい、納得性の高いものでした。

2009年3月10日火曜日

ef - a tale of memories.

アニメです。
新房昭之監督作品をひとつも見ないまま、大沼心監督を先に見てしまいました。
先鋭的な映像の、恋愛ドラマです。
大人のアニメファンなら見たほうがいい作品だと思います。

全体的な印象として、新房組、恐るべしでした。
アニメでしかできないタイプの、効果的な演出がたくさん使われており、こんな演出ができる人が日本にいると思うと嬉しくなります。モノローグや、モノクローム(似てる^^)の多様や、ちょっとHなシーンはパステルタッチのハーフトーンになったり、ef用のルールを作ったうえで、演出されているようです。
母親が胸を押し付けるシーンも、パステルタッチになっていたので、原作だと攻略キャラなんでしょう^^;
そのほかにも、大きく流れる雲や、登場人物の手前に影絵的な障害物を置いた、すこし突き放したような絵など、特徴的、印象的な画面がたくさんあります。
エヴァンゲリオンの手法を、もっと心理描写に重点を置いて、突き進めたような感じでしょうか。
第1話、画面に慣れないうちは気が散るのですが、慣れると、すごくよかった。
グローといっていいんでしょうか?人物の周りに光彩を入れる演出は、通常霊的なものや幻に使われると思いますが、このefでは心理状況や2人の距離感を表すのに使われており、最初少し戸惑いました。変わってるけど、いいと思います。
留守電や、テレホンカード残数の演出など、ほんとうによくて、視聴者を楽しませるために、いろんなアイデアを盛り込んでいて、楽しませてくれてありがとうという感じです。
ちょうど、少し尖ったものを見たかったところなので、大満足でした。

オープニングのデキがすごくて、そもそも、カッコイイオープニンング動画集でオープニングを見て本編を見たいと思ったのですが。
フェティッシュなスカートの揺れが鮮烈な印象で、これは、人格形成期に見ると、完全にスカートから膝上のフェチになると思います^^

ものすごい細かいんですが・・・
電話ボックスでバリーンとなるシーンは、もう少し印象的にできたように思います。
最終回のBパートは、少々蛇足な感じが強かったです。ばらばらに動いてきていた2、3組のカップルが、「忘れたくない記憶」という共通テーマの元、ひとつに集まるのですが、少々無理があったように思います。難しいですね。とりあえず、締めるというだけの意味合いでしょうか。
オープニングのすさまじいデキに比べると、最終回エンディングの歌がお粗末でした。
陽子のことがさっぱりわからなかったので、続編ありきの作品になっています。彼女のストーリーテラーとしての役割は必要だっので、しょうがないですねー

melodies.も録画しているので見るのが楽しみです。