2011年5月11日水曜日

夢喰いメリー

普通。コンパクトに、しっかりまとまった作品。原作未読。

山内重保監督なんで、多少難解で、ハードな作品かと思いきや、おそらく原作どおりの、わかりやすいエンターテイメントでした。
とにかく、普通の面白さですが、エンギにはちょっと萌えます。なんか、凛とした、あの手のキャラクターは、ワンパターンなのに、おっさんも萌えを喚起されます。
夢の世界なんかもよくできてるんだけど、同じクールの『魔法少女まどかマギカ』の魔女の世界のつくり込がすごすぎて、ちょっと不利なネタだったかなあ。

魔法少女まどかマギカ

面白い。
ハッピーでピースフルな魔法少女ものを、リアルで残酷な世界観で描く斬新な作品。

この見せ方は、なかなか思いつかないし、面白いアイデアでした。脚本もよく、新房監督の作り出す世界観もすごい。新房監督の前のクールの作品は、ギャグ2つで、テンションもそれほど上がらず、もういいかなあと思っていた矢先、「やっぱり新房監督の作品は、見とかないと」と再認識。
魔女の世界が、おどろおどろしく、芸術的で、美しい。
最後、まどかのスーパーパワーで世界を変えてしまう、ちょっとご都合主義でもありましたが、まどかは復活せず、友達も死んだまま。ハッピーエンドを意図的に避けています。ただ、見終わった後味はよく、なんとなくハッピーな終わり方。これって、だいぶ計算されてて、なかなかの“さじ加減”ではないでしょうか。
面白い話に、完璧な映像が乗っかった作品でした。
残酷な話がダメな人以外は絶対楽しめるアニメならではの作品で、これを楽しめないと、何を見ても駄目でしょう。

放課後のプレアデス

短いプロモーションアニメ。面白い云々の作品ではない。

ストパン2で“いい仕事”をしていた、佐伯昭志監督なので、1クールとか、もっとしっかりした作品で見たいです。
キャラは、これも『けいおん』に似ている。2010年代を代表する絵柄になっていくんでしょうか。

テガミバチ REVERSE

普通。子供が安心して見れる内容。

ゴーシュを探す展開にも決着がつき、これで、ようやく、パッケージされた感じ。
破たんもなく、問題のない作り。最終回近く、複数の場所で話が進行するときに、ちょっと時間・場所のつなぎがうまくいってないように感じました。
ラグの正体や、お母さん、人工太陽など、なぞは残りましたが、連載とちゅの作品なので、これで、十分完結していると思います。

ぬらりひょんの孫

面白くない。原作既読。
西村純二監督と、福山潤のダブルジュンジュンに釣られて視聴。

真面目な西村監督が、原作を真面目にアニメ化した感じ。原作も普通のジャンプ漫画といった感じで、それほど面白いとは思いません。
基本的に原作どおり。この面白くなさは、原作起因のような気がします。
これは、子供のためのアニメなので、深夜で、大人向けにやること自体に無理がある。話の分かりやすさや、キャラ、絵柄、色など、すべてが子供向け。大人の視聴するものではない。
演出では、3代目襲名のシーンがよかったです。また、妖怪のおどろおどろしさも出ていた。雪女の可愛さも原作通り。原作のよいところはだいたい引き出せていたと思います。

福山潤さん、昼間のぬらくんは、もっとショタな感じでいくかと思いきや、結構カッコいい声。高校生の設定だし、昼間のぬらくんも、別にヘナチョコではないので、この演技なんですね。

原作が好きな子供が楽しむためのアニメでした。

2011年4月27日水曜日

とある魔術の禁書目録Ⅱ

まあまあ。1期より、世界観に愛着があるので、楽しい。
絵はきれい。

1期は面白くないと思いましたが、『レールガン』も含めると、かれこれ50話ぐらいこの世界観を見ているので、さすがに馴染んできて、キャラクターが動くだけでも、そこそこ楽しめるようになってきた。
中2作品の代表ということで、おっさんにはちょっと辛いんだけど、まあ、それも、慣れたかな。

ストーリーは相変わらず短編をいくつか繋いだ形で、シリーズ通して「ガツンと面白い」印象ではありません。また、それぞれのシナリオが、さらに難解になって、思わせぶりな伏線が満載され、なんとなくカッコいい感じの専門用語が飛び交います。全体的に、シチュエーション重視でストーリーが作られており、あれだけ凄惨な戦いをした、上条ちゃんとアクセラレータが、電話だと本人たちと気づかないなど、カッコよければなんでもあり、カッコつけれたらOK的な作品です。
そのあたりを割り切っちゃうと、結構楽しめる気もします。
とにかく、主人公がモテたり、御坂にやきもちを焼かれたり、カッコいいセリフを吐いたり、そんなシチュエーションを楽しむ作品。
上条ちゃんの中2的ほえずらも、結構なれてきて、だんだん、「あれ? この子、カッコいいこと言ってる」みたいに思っちゃいました。
なんだかんだ言って、最終回まで70話以上付き合ってきたキャラには、思い入れがあります。
2期のオープニングはこれまでにない雰囲気で、特に序盤のインデックスの笑顔から、モノレールの下を走るカットまでが秀逸だと思いました。音楽と絵のシンクロで、かなり気持ちいいです。

また、この作品はこのクール、「みんな見ている」作品になっているので、「一応押さえておかないといけない」作品でもありました。
何年も残る作品ではなく、あくまでライトな作品。
あまりの中2作品だけに、リアルな中2の人が見たら、「すごい面白い」かもしれません。

2011年4月21日木曜日

フラクタル

まあまあ面白い。わかりやすい活劇。いろんな名作のパロディになっている。

人気者の山本寛監督が、次何をやるか、アニメファンは気になっていたところ。以外に手堅くまとめてきたという印象。
活劇も「エッチ」連発のギャグも楽しく、わかりやすいエンターテイメントになっています。
演出も凄い。丁寧だし、凝っている。キャラクターも魅力的で、花澤香菜さんの演技が凄く、他の人がやると、ネッサはちょっと「ウザい」キャラになりそうなところが、可愛く思えました。
各キャラクター、個性もあるのに、さらっと演出されている。さらっとしていて、泣くようなシーンはありません。ライトで、爽やかな後味になっています。

管理社会VS自由、文明批判、自然賛美になりそうで、ならない。主人公がオールドテクノロジーと呼んでいる、現在の僕たちの文明社会を賛美している。これが、切り口としてはありだし、すごいわかりやすいんだけど、すこしスッキリしなかった。文明を肯定しながら、人間本来の生き方も重視していく。これって、現実社会の実際。主人公の敵ってなんだろうと思ったときに、敵はいなかった。スッキリ感がちょっと少ないのはそのせいかも。ただ、好きな人を守りたい。それは、努力の末報われるので、爽やかな後味になっているのかなあ。

悪漢のバローが、ヒロインと愛し合っていると主張しているくせに、ヒロインを処女検査するシーンがあったり、結局、ヒロインは何が汚れているのかよくわかんない。本番を除く、ギリギリの交渉をしていたということでしょうか。この一連のエピソード、アニメファンの処女信仰に対する「あてつけ」のようにも感じました。『かんなぎ』のヒロインが処女がどうかで、ファンが盛り上がったことに、山本監督も何か言いたいことがあったと思います。
たしかに、アニメファンが処女性に固執しすぎる傾向は、少しいきすぎと思いますが、もし、それに対する意見を作品に入れているなら、ちょっとごちゃこちゃする思いました。
さすがに、それはないのかもしれませんが、引っかかるエピソードではありました。
このストレートな作品に関しては、ヒロインは16歳の処女でよいです。

この作品をどう評価するかは、過去の名作アニメ作品にかなり酷似していることを、どう考えるかだと思います。『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』に加え『不思議の海のナディア』『エウレカセブン』にも近い。また、お父さんとの出会いは『ガンダム』のサイドセブンのエピソードにも似ています。
アニメのオーソリティ、山本寛監督らしい気もしますが、ネタ元が少し有名すぎて、視聴中どうしても気が散ります。
あまり情報誌など見ないので、この作品がなぜ過去作品をなぞったのか知りませんが、オーソドックスな活劇、ボーイ・ミーツ・ガールを作るなら、この形が一番という答えなのか。
ただ、作品評価において、一般的にオリジナリティはかなり重視されると思います。アクション・活劇重視の僕でも、オリジナリティの高い作品は、やはり「ひと味」違うと感じます。『電脳コイル』は活劇ではありませんが、まぶしいオリジナリティで、見た後に「何か」残ります。『東のエデン』はオリジナリティも高く、しかもエンターテイメントしても面白いので、当然評価が高くなります。
この作品は、「あの作品たち」に似すぎていて、せっかくある、オリジナリティも覆い隠されているように思いました。

ピクサーの作品は、毎回オリジナリティとエンターテイメントを両立していて、それは、長期間じっくり作れるだけの資金力、興業力に裏打ちされている面もある。日本のアニメ業界は、常に作り続けていないとメシが食えない。そんな中でクリエイターは奮闘しているので、そのうえ、輝くオリジナリティを要求するのは酷かもしれません。
また、山本寛監督も、その過激なパフォーマンスとは裏腹に、オールジャンル作れる、万能型の監督を目指しているように感じます。そんな監督に、オリジナリティ=作家性を求めるのもお門違いかもしれない。
それでも、ダンスや過激な言動でファンを楽しませてくれる山本寛監督には、すごいものを作ってくれる期待があります。
次も期待しています。