2012年9月25日火曜日

氷菓

面白い。派手さはないが、完璧な作品。
こういう、しっかり作りこまれた作品は、とにかく好感度が高い。
机上だけでどんどん事件を解決していくストーリーも面白いし、推理ものをやりながら、端々で見せてくれる切ないラブコメや、ドラマもよい。
京アニらしい描き込まれた演技もいつもどおり高いクオリティ。

お姉さんのキャラだけが、ちょっと浮いてて、うっとおしい。「お姉さんがすごい」ことのストーリー上のメリットがあまり見えませんでした。主人公たちの対比「達観した大人」というにはハジけすぎてるし。

この作品、謎解きを追いかけるのが大変で、表層だけみていると、一見同じ学園ものの『けいおん!』に近い視聴感。
でも、実は骨太な謎解きや、人物描写が、『けいおん!』に対してのカウンターにも思えます。『CLANNAD』なんかの、どうしようもない閉塞感がちょっとある。

この作品の舞台はド田舎で、旧家出身のヒロインをはじめ、登場人物は、高校生でありながら将来を決められている人たちばかり。端々に、「どうしようもない現実」が描かれる。
一見悩みのなさそうな里志が、奉太郎の才能をうらやんだり、摩耶花の好意を素直に受け取れなかったり。
とにかく各キャラクターの「現実」が物語の根底にあり、視聴後の感動に、少し苦さがある。

それでも、運命や自分自身を受け入れ、前へ進んでいく登場人物たちは素敵。そう、この作品は素敵なんですね。

あとは、この一見地味な作品を、ファンが受け入れるか入れないか。
アニメファンは目が肥えているので、京アニブランドと合わさって、これも売れると思います。
たとえ、セールスが悪くとも、こんな作品は作り続けて欲しい。

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